日常組について考える会

日常組のファンです。ニチニチ

日常組における「トラゾーさん」について考える(1)

1.日常組における「トラゾーさん」について考える(1)

 

YouTuberは演者。
視聴者を楽しませるために、多少の演技をすることもある。
特に日常組は「即興コント集団」を自称しているだけあって、4人ともショーとしての演技はかなりクオリティが高いと思う。

 

中でもトラゾーさんは異質。
日常組の代名詞ともいえる盗賊・脱獄シリーズでは、長編大作ということもあり複数のキャラクターが登場する。
そのすべてをトラゾーさんが一手に引き受けている。
特に看守の3人はキャラの見た目や年齢も同じぐらいで、演じ分けが大変そうだ。

 

看守にしては穏やかで優しいステイサム。
看守にしては適当で親しみやすいスティーブ。
看守にしては……、いや、看守とはいえ厳しすぎるリアム。

リアムが来ることを知ったぺいんとさんとクロノアさんがわかりやすく嫌がっている様子を見ると、その厳しさは理不尽ともいえるレベルだと想像できる。

 

”リアム看守は本当にいるかもしれない”
トラゾーさんは単に演技が上手いというだけではなく、3人と私たち視聴者をこの世界に没入させるためにキャラを徹底している。
脱獄1では「トラゾーさんっぽさ」がまだ残っていたが、回を追うごとに「トラゾーさんっぽさ」はなくなっていく。
普通なら笑ってしまうところも「リアムは笑わない」場面なら絶対に笑わないし、「ゴルゴンなら皮肉を言う」場面なら即座に嫌味で返す。
3人からメタ発言が飛び出てもトラゾーさんは必要以上にそのラインは超えない。
その世界観に合わないワードはうまくかわし、行き過ぎた悪ふざけはきちんと”看守として”罰する。

 

先日「白昼夢」シリーズが完結した。
これもまた面白くて私は毎日のように鬱陶しいほどツイートしてしまったが、ここでもいくつかのキャラが登場している。
和テイストのジャパニーズホラー感があり脱獄とはまた違った面白さがある。
たまにガチガチにホラーな場面もあるので要注意だが、ぜひ全編通して見てほしい。宣伝。

 

ある時は領主の仮面を、ある時は看守の仮面を、ある時は執事の仮面を、ある時はおばあちゃんの仮面を。
いくつもの仮面を即座に付け替え自身に憑依させる、トラゾーさんの魅力のひとつである。

 

 

トラゾーさんは脚本家でもある。
脱獄シリーズを題材にした、コミックアルナで連載中の『日常ロック』はトラゾーさんが作った物語。

 

もともと盗賊・脱獄もトラゾーさんの台本で、3人はアドリブで動いているそうだ。
……ということはいくら台本を決めたところでその通りに進むとは限らないし、会話のやり取りによっては大きくかけ離れた物語になる場合もある。
それを軌道修正するのは誰か。
台本を担当しているトラゾーさんだ。

特に、30日経過するまでに…30分以内に…といった制限時間付のミッションだとどうしても想定しているオチに行かない場合もある。
そんな場合でも自然に、違和感なく、齟齬がないように次に繋げるためにはかなりの神経を使うはずだ。

ぺいんとさん達との会話でも、違和感のあることを言わないように、さらにそのキャラならどういう言い方で返すか、用心しながら返答している様子がうかがえる。

 

ここ最近で一番印象的なのは『マイクラ白昼夢 #5 謎の鬼に話しかけてみた』にて執事の五十嵐さんが「学(まなぶ)さん」だと判明した場面。
電話で五十嵐さんに「がっちゃんと呼んでもいいか」とふざける七味兄弟(ぺいんと&しにがみ)に対し、「そのようなお戯(たわむ)れを旦那様に見られてしまった場合怒られてしまいますので」とがっちゃんは返答している。
あくまでも客人である3人に、失礼のないよう丁重にお断りしている。
確かにベテランの執事ならこう返すはずだ。
それを即座にやってのけたトラゾーさんに心底感心した。

あれをやりつつこれもやりつつ……、いくつものタスクを同時にこなすトラゾーさんは、脳みそCPUが高性能である。

 

さて散々演技力を褒めた後に書くのもアレだが、トラゾーさんの活舌が覚束ない時が多々ある。甘噛みは多数。
それがまたいい塩梅でもある。
怖い怖いリアム看守や、貫禄のある時雨源一郎がセリフを噛むと若干ほっこりした空気が漂う。
(実際に笑ってしまうとリアム看守からのキツイ罰(八つ当たり)があることは言うまでもない)

例:「植えられにゃにな」(『マイクラ脱獄 #6 もしかして、都市伝説の人?』より)
例:「”身おぐき”がとれなくなったとか」(『白昼夢 #2 目が覚めると皆が消えていた』より)

しっかりしてそうで天然なところは、T&Kの共通項か。

 

 

トラゾーさんはぺいんとさんを愛していて、何かと「ぺいんとぺいんと!」と呼ぶ。
ぺいんとさんが集中しているときでも関係ない、呼びたいときに呼ぶ。
ぺいんとさんは「トラゾーは会話を被せてくるからテロップの編集が大変」だと言っていた。確かにそんな気がする。面白い。
まるで母親に「お母さんお母さん聞いて聞いて!」と目を輝かせる少年のようである。

 

少し話は脱線するが、私は社会人8年目の会社員。
最近特に感じるのは、この年になるとトラゾーさんのような「おい、元気ないけど大丈夫か?飯行こうぜ!」と誘ってくれそうな人が、いかに貴重かということ。
フットワークも軽く、友達のドッキリのために東京から愛知まで車を飛ばしたのは、やっぱり今考えても行動力がすごい(『突然ですが、ドッキリしてください』より)。

そういう地元の友達のようなノリが、ぺいんとさん、クロノアさん、しにがみさんにとっても心の拠り所になっているのかもしれない。

きっとトラゾーさんは「みんなを楽しませたい」といういつまでも変わらない少年のような心で、私たち視聴者にもワクワクと親近感を与え続けてくれるだろう。

 

※本当はこれ以外にも「いなりさんへの愛~光属性トラゾー~」とか「ダイヤお兄さん」とか書く予定でしたが、さすがに長文となったため割愛。

 

トラゾーさんは後から加入した4人目のメンバーだが、日常組というコンテンツの知名度をさらに上昇させた立役者なのだ。

 

 

2023.9.1 アルク